Salvation Ch. 7 >3

Jan 22, 2007 01:27



『Salvation ――救済―― 』 の翻訳を更新しました。Here is the new part of the translation of Salvation.
スラッシーな内容に、ご注意ください。Please be warned of slashy contents.

Author: Isis様 (isiscolo)
Rating: 時々18禁 (Occasionally NC-17)
Pairing: Snape x Draco (途中リバあり)
Previous: これまでのお話
Summary: あらすじ

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このスラッシュの翻訳は、原作者のIsis様 (isiscolo) のご許可をいただいて掲載しております。
原作はこちら: http://hieroglyfics.net/hp/salvation.htm

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ルシウス・マルフォイは、芝居掛かった身ぶりで校長室に現れた。長い金髪を解(ほど)き、目をぎらつかせ、豪奢な紫のローブと刺繍の施された同色のマントに身を包んだその姿は、『侮辱された貴族』そのものだった。

ルシウスは校長に歩み寄り、隠し果(おお)せない憎悪に声を震わせる。「いったいなぜ、こんなことになったのです」

アルバス・ダンブルドアは机から顔を上げた。「お茶はいかがかね」

「お遊びは省略していただいて結構、ご老人よ」ルシウスは手に持った巻物で机を叩く。「息子から連絡を受けた。あの……あの、変態……を訴える供述をする用意があると」ルシウスは侮蔑に唇を歪めた。

「手紙の内容が、言っておられるとおりだというのは確かなのですかな」部屋の隅の暗がりから、無頓着な声を緩慢に響かせながら、スネイプは凭れていた壁から身を起こす。

「久しぶりに会えて嬉しいと言うべきなのだろうが、嘘をつくほどのこともないので、やめておこう」ルシウスは部屋を見まわした。「理事たちはまだ来ていないのか?」

スネイプは片眉を吊り、口角を上げる。「本日の予定は少々違うのですよ、ルシウス。ご子息はあなたに負けないほど、スリザリンらしい抜け目なさを持っておいでですな」

「息子に指一本でも触れてみろ」ルシウスは尊大に顎を上げ、鼻先越しにスネイプを睨みつけると、ダンブルドアに向き直った。「私の時間を無駄になさるおつもりですかな」

ダンブルドアは溜め息をつき、書架脇の止まり木で羽繕いをしていたフォークスに合図をする。不死鳥は一声高く鳴くと、赤い羽根の固まりとなって、隣の間に飛び去った。しばしののち、ドラコが入ってきた。顔は青ざめていたが、すっと背筋を伸ばし、左右を一人ずつ、オーラー姿の男に付き添われている。フォークスは三人のうえを何度か旋回したあと、止まり木に戻った。

ルシウスが目を眇(すが)める。「理事たちはどこだ。これは何の真似だ、ドラコ」

ドラコはスネイプを見やる。スネイプが勇気づけるように頷くと、ドラコは父親に視線を戻した。顎を引いて口を開く。「皆さんに全てお話したんです、ベリタセラムで」

ルシウスは薄笑いを浮かべた。「なるほど、アルバス。あなたが飼っておられる間諜(かんちょう)の変質ぶりが、明るみに出たという訳ですか。当然、即行、馘(くび)にするおつもりでしょうな」

スネイプは部屋の隅から、低い忍び笑いを響かせる。「ああ、ルシウス。あなたは、ほかの人の思考が、あなた同様捻じ曲がっているということが信じられないのですね」

「ちょっと待て」オーラーの一人が、ドラコに向き直った。「まだ何か話してくれていないことがあるのかね」

ルシウスが吐き捨てるように言う。「この教師が、息子に不適切な接近をしたということは、もうお話しましたかな」

ドラコは真っすぐに父親を見据えた。「スネイプ教授は、僕に不適切な接近なんてしてません」スネイプは、ドラコがそれ以上言わなかったことに心の奥で感謝する。賭けではあった。二人の作戦は常に、ポンフリーとダンブルドアのいない僅かな間(ま)を縫って練られていたのである。加えて、ドラコが結局のところやはりルシウスに洗脳され、スネイプの破滅を望んでいるのではないかという疑念を、スネイプは幾度となく振り払ってきたのだ。

スネイプは二人のマルフォイを見比べる。生まれつき自信に満ちたドラコの身の熟(こな)しは、まさしく父親に瓜二つだった。そっくりな白金色の髪や繊細な顔立ちがなくとも、物腰を見ただけで父子であることは一目瞭然である。しかし、こうして同じ部屋に並んで立っているのを眺めると、類似点よりも相違点の方が際立っている気がする。ドラコの顔の方が気品があり、ルシウスのように荒んだところがない。ドラコの瞳には穏やかな光が瞬いており、ルシウスの瞳に抑えようもなくちらつく狡猾な影がない。

オーラーたちが杖を抜く。「マルフォイさん、例のあの人及び黒魔術と、あなたとの関わりに関する証言を得ております。ご子息の杖と、使用された呪文を調べさせていただきました。あなたが、デスイーターであると信じるに足る証拠を掴んでおります。さらなる尋問のため、魔法省へご同行願いたい」

スネイプは、ルシウスの顔が赤黒い色に染まる様を、満足をもって眺めた。その顔色は、紫のローブに全く似あっていなかった。

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