Salvation Ch. 7 >4

Feb 06, 2007 00:02



『Salvation ――救済―― 』 の翻訳、最終回です!Here is the final part of the translation of Salvation!
スラッシーな内容に、ご注意ください。Please be warned of slashy contents.

Author: Isis様 (isiscolo)
Rating: 再び18禁 (Once again NC-17)
Pairing: Snape x Draco (途中リバあり)
Previous: これまでのお話
Summary: あらすじ

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このスラッシュの翻訳は、原作者のIsis様 (isiscolo) のご許可をいただいて掲載しております。
原作はこちら: http://hieroglyfics.net/hp/salvation.htm

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扉が叩かれる音を、スネイプは予期していた。ドラコは今日の午後、マダム・ポンフリーの看護から解放されたばかりである。スプリンチ事故に遭ってから二日。父親を魔法省の牢獄に送りこんでから八時間。無垢な決心を胸にホグワーツを出ていってから五日。二人きりで会ってから一週間。

スネイプは扉を開け、一歩下がる。ルシウスの嘘のなかに、ある種、真実も混ざっていたことは否めない。ドラコに先んじて動く権利はないと思われた。自分の気持ちは全て、アンプレクサス・プロフンドの魔法を通じて伝えたはずである。かつて父親の――先ほど、自らの手で地獄に送りこんだ父親の――恋人であった自分を、それでも求めてくれるかは、ドラコ次第である。

「セブルス……」一韻々々に意味を込めるような、呪文を唱えるがごとき呼びかけだった。ドラコはすっと背筋を伸ばし、優雅に部屋へ足を踏みいれると、スネイプに対峙し、腰に腕を回して、肩に顔を埋(うず)める。

これが彼の答なのか。スネイプはドラコの肩に片手を伸ばし、固く抱き締め、呟く。「帰ってきてくれて嬉しいよ」

「僕も」ドラコが答える。「一瞬、自分の気持ちが分からなくなったけど……ああ、僕は馬鹿だった」声からは苦味が滲んでいた。スネイプの腕のなかから離れ、言う。「セブルスの言うことをちゃんと聞くんだった」

「聞いたではないか」

「もっと早く聞くべきだったんです」

「いいか、ドラコ」少年を再び引き寄せる。「君には過ちを犯す権利があるのだよ。過ちから学ぶことができると証明したのだから。例え間違ったとしても、自らの選択によって道を選ぶことの方がどれほど大切か――盲目的に他者に付き従うより」

「他者って、セブルスも?」

「私もだ。とはいえ、今この場で君が、盲目的に寝室に付き従ってくれても文句は言わないがね」スネイプはドラコの顎を指先でしゃくり、うえを向かせると、瞳を覗きこんだ。「しかし、そのまえに色々と説明が必要だろうな」

「寝台のなかで説明してくだされば結構ですよ」ドラコはスネイプの頬に口づけると、先に立って、寝室へ繋がる扉に向かった。歩きながらローブを解き、滑り落ちるに任せる。「ああ、セブルス、会いたかった……!」

「私もだ。とはいえ、手紙を読む限り、そう思ってくれているとは思えなかったがね」

ドラコは寝台の端に腰を下ろし、白金色の髪を掻きあげた。「どの手紙が送られたかも知らないんです。山のように書いたから。セブルスを殺したいと思いました、僕を弄んで」

「気を変えてくれて良かったよ」

ドラコはしばし笑ってから、真顔になって続ける。「父がもっとずる賢くて巧みに振舞ってたら、気を変えてなかったかもしれません。でも父に見せつけられたんです。本当に誰かの操り人形になるってことがどういうことか。それで分かったんです。セブルスはそんなことしなかったって――セブルスは絶対にあんなことをしないって」ドラコの手が無意識に、首元にある銀の蛇に伸びる。「僕には分かったんです」

今こそ正直に言わねばなるまい。「魔法……だったのだ、それは」

ドラコは手のなかの蛇を見おろす。「ただの装身具だって仰ったじゃないですか」

「それはそのとおりだ。ただ、君に力を送るために使ったのだ。私の気持ちを送るために。君を操るためではなく、助けるために」

「セブルスの夢を見ました」ドラコは唇に笑みを含む。「強くあれって、言ってくださいました」

「そうだな」

「愛してるって言ってくださいました」

一瞬の間ののち、答える。「そうだな」

「父は嫉妬してたんだと思います。僕が父よりセブルスを愛していることに」ドラコは考えこむ。「だから僕に嘘をついたんです。セブルスを信じなくさせようとして」

スネイプは須臾(しゅゆ)の間沈黙する。いかに部屋から追いだそうとしても、ルシウスの存在は、鍋から立ち昇る毒気を含んだ蒸気のように漂っていた。ならば、鍋を空け、濯(すす)ぎ、脇へ追いやるまでだ。「ルシウスの言った全てが嘘というわけではない」

「恋人同士でいらしたんですね」

「そういう言い方ができないこともない」

ドラコは瞳に微笑を浮かべて立ちあがると、スネイプのローブを肩から落とし、白い指で器用に襯衣(シャツ)の釦(ボタン)を外していった。胸の傷痕が露になると、乳嘴(にゅうし)から脇腹へと続く白く変色した線をなぞって言う。「父の『愛』がどんなものだったか良く分かります」その皮肉を含んだ声には、スネイプへの許しと理解が滲んでいた。

「彼の『愛』などというものを束の間でも信じた私が馬鹿だった」スネイプは呟き、目を閉じて、恋人の指が肌に残していく戦慄を味わう。

「僕も」ドラコが囁き、顔を胸に押しつけてくる。それは今や恋人の仕草というより、安らぎを求める子供のようであった。スネイプは寝台に腰掛け、ドラコを膝に引きあげて、滑らかな銀髪を撫でる。

「父をアズカバンに送りました」

スネイプは何も言わず、ドラコを抱き締めつづけた。いつとはなしに、しがみつく力は抜け、掌がスネイプの肩に優しく円を描きはじめる。ドラコが顔をあげ、濃灰色の瞳でまっすぐ見つめてきた。二人の唇が重なる。

残っていた衣服は全て取り払われ、ドラコが深く激しい口づけを繰りかえしながら、寝台の奥へと誘う。スネイプが幻でないと確認するかのように、留まることなく身体に手を這わせてくる。「ああ、会いたかった。セブルスが欲しい……!」ドラコが掠れた声で囁き、唇をスネイプの首筋に押しあてると、鎖骨を経て乳嘴に口づけを落とし、勃起を大腿に押しつける。「ああ、もう我慢できない……!セブルスが欲しい、今すぐ……お願い」

スネイプは呪文を呟くと、外用水薬に濡らした指を焦(じ)らすようにゆっくりと動かし、ドラコが身を捩らせるのに合わせて、入り口に出しいれする。切なげに身悶えするドラコを宥(なだ)めるように抱き締め、身体を重ねて、ドラコの喘ぎ声に呼応するように嘆息を漏らしながらスネイプは、ドラコのなかに這入った。

ドラコが貪るように腰を突きあげ、脚を絡めてくる。一突き一突きを、より深く味わおうとするかのように、スネイプの腰を自分に引きつけ、熱に浮かされたような吐息をつく。スネイプも抑えようもなく込みあげる衝動に身を任せ、最後に深く打ちつけると、目を見開いて快感に口を歪め、達した。ドラコが甘い悲鳴を上げ、即座に続く。自分のしたで乱れた息を繰りかえす身体にスネイプがそっと倒れこむと、徐々にドラコの緊張が解けていくのを感じる。

どれほどのあいだ、抱きあっていたのだろう。肩に押しつけられたドラコの唇が動いた。「もう家には帰れません。校長先生が仰るには、母は消えたって。大陸に行ったらしいです。近いうち、魔法省が、家に残っているものを差し押さえに来るとか」

「闇の帝王とやらも、さぞやご立腹だろうな」

「ええ、それもあります」ドラコが身震いをする。

「ここにいてもいいのだぞ」

「戦争になるまで?」

「ああ。そしてそのあとも。何が起ころうと」スネイプは端正な唇に口づけて、身体をずらし、ドラコを腕に抱きとった。そう。じきに戦争になるだろう。いやむしろ、何年ものあいだ水面下で戦いつづけてきた戦争が明るみに出る、というべきか。しかし、腕のなかのこの子だけは、少なくとも勝ちとったのだ。「本当に良くやった、立派だった。君が我々の側に付いてくれて良かったよ」

ドラコが、微笑みながら目を覗き込んでくる。「ええ。そして、セブルスが僕の側に付いてくれて、本当に良かった」

――完――

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A/N:

One year has passed since I had begun with my translation project of Salvation, and here I am, uploading the final part of it!

One year of waking up early and going to Starbucks one hour prior to the opening time of the office in order to work on the translation. Yes, it required a great force of will, but I am proud of myself for having done this; me, who had not even been able to wake up 15 minutes earlier than absolutely necessary.

I am quite aware that Snaco is a rare paring, and not a few times did the thought cross my mind that nobody would be waiting for my update, but thanks to the kind comments from my flist, I managed to keep on posting.

Thank you to you all, waccawheels, yukipon, nanathecat, mayflo, liriaen, busaikko, and miyabinohana, for your warm comments on my translation. (Names in the order of the first comments received. ^_^ ) You are the sole reason that I managed to carry through with this project.

Last but not least, I would like to express my sincere gratitude to Isis (isiscolo) for letting me translate such a wonderful work. I will never forget this precious experience! :)

連載開始から約一年、どうにか最後まで辿り着きました!ここまで来れたのは、ひとえに、LJでお知り合いになった皆様のお優しいコメントのお蔭です。スネドラという超マイナーペアリングだし、更新を待って下さる方もいないだろうなーと思いつつも、訳の分からない義務感に駆り立てられるように翻訳に励む一年間でした。毎朝、仕事の始業の一時間前にスタバに通って、しこしこ翻訳をしたのも、今となってはいい思い出です。それ迄は、十五分たりとも必要以上早起きなんて出来なかったのに……!

『Salvation』へ温かいコメントを下さった、waccawheelsさん、yukiponさん、nanathecatさん、mayfloさん、liriaenさん、busaikkoさん、miyabinohanaさん、本当に本当にありがとうございました。 m(_ _)m (お名前、最初のコメントを頂いた順。 ^_^ )

最後に、このように素敵な作品を翻訳する機会を下さったIsisさん(isiscolo)に、心から感謝申し上げます。この素晴らしい体験は、一生忘れません! (*^_^*)

Lala

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