Salvation Ch. 6 >6

Dec 12, 2006 01:18



『Salvation ――救済―― 』 の翻訳を更新しました。Here is the new part of the translation of Salvation.
スラッシーな内容に、ご注意ください。Please be warned of slashy contents.

Author: Isis様 (isiscolo)
Rating: 時々18禁 (Occasionally NC-17)
Pairing: Snape x Draco (途中リバあり)
Previous: これまでのお話
Summary: あらすじ

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このスラッシュの翻訳は、原作者のIsis様 (isiscolo) のご許可をいただいて掲載しております。
原作はこちら: http://hieroglyfics.net/hp/salvation.htm

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接触が切断されるのを感じ、スネイプは、目眩のする頭で椅子の背に凭れかかる。食事も摂らずに、このような複雑な魔法に取りかかるのではなかった。一瞬接触は繋がったものの、対抗する力に抗いきれず、すぐに切れてしまった。対抗していた力はルシウスに違いない――ルシウスであって欲しい。もしドラコならば、全ての努力は水泡に帰する。

復活祭休暇のため、教師としての仕事はあまりなく、一日中アンプレクサス・プロフンドの魔法に掛かりきることができた――体力が持てば、の話だが。対抗する力がなかったとしても、魔法には莫大な気力が要り、スネイプは、自分の能力でどれほどのあいだ、接触を保つことができるのだろうかと思う。しかし考えても仕方があるまい。保てるだけ保ち、切れたら再び接触を試みるまでだ。

目のまえの白墨で引かれた円の中央に、ドラコの箒が横たわっている。円の周辺の記号は、昨晩消したあと、今朝再び丁寧に描きいれたものである。元素杯も、今朝汲んだ水と、新たに起こした火を以て満たした。椅子に腰を下ろして足を組み、円に対峙すると、線図のなかに微かに満ちている「気」が震動しているのが感じられる。この結界に向かい、方向を探るのである。

スネイプは、軽く杖で箒に触れ、深呼吸をした。吸気と呼気をゆっくりと繰りかえし、身体から力を抜いて、意識を集中する。続いて目のまえにドラコの姿を思い描いた。眉に掛かる白金色の髪、生意気さと儚さの入り混じる微笑み、緩慢な動作にも気品を感じさせる痩身。つぎに曾祖母の銀細工のペンダントを思い起こした。翠玉(エメラルド)の目をした蛇が、ドラコの白い喉元で揺れている。スネイプは、蛇のしたに広がるドラコの雪肌(せっき)を、首元に唇を押しつけたときに感じる力強い鼓動を、思い浮かべた。

続いて呪文の冒頭部分を呟く。スネイプは、スニッチを目指しクィディッチ場を縦横無尽に飛びまわっているドラコを心に描いた。続いてその器用な指に思いを馳せる――魔法薬学の授業中、材料を切り刻んでいる様を。肌に残るドラコの指の感触を。腰骨の縁を口づけでなぞってやると、頭を後ろに投げだし、静かな喘ぎ声を上げる様子を思いだす。思いだす。その身振りを。思いだす。その口調を。

スネイプは、呪文のつぎの部分を囁いた。ドラコの瞳に瞬(またた)いていた決意を――抱いてください、と言ったとき、瞳に瞬いていた決意を――見つめる。自分の信条について語るときの、声の抑揚を思いだす。思いだす。愛すべき美質を。思いだす。許すべき欠点を。

これら全ての思いが心から溢れだして純粋な感情の流れとなり、自分の胸から目のまえの箒を経由し、恋人の喉元の蛇へと運ばれる感覚を思い描く。スネイプは呪文の最後の文言を唱え、身体のなかに力が漲り、純然たる情感の光線となって放射されていくのを感じた。

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