Habitué Part 08

Aug 03, 2007 00:11


『Habitué ――常客―― 』 の翻訳を更新しました。Here is the new part of the translation of Habitué.
スラッシーな内容に、ご注意ください。Please be warned of slashy contents.

Author: Anise様 (anise_anise)
Pairing: Snape x Draco
Rating: 時々18禁 (Occasionally NC-17)
Previous & Summary: これまでのお話 & あらすじ
Original Work: 原作 ※この翻訳は原作者様のご許可を頂いて掲載しております

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スネイプが疲れ果てて、三年生のレイブンクローとハッフルパフの合同授業から戻る途中のことである。廊下を曲がったところで思いがけない光景を目の当たりにし、スネイプは突如歩みを止めた。自分の研究室の向かいの壁に背を付けて凭れかかっているのは、ドラコである。そして、前に立ちはだかるようにして、ドラコの頭上の壁に手を突いているのは、ブラックである。ブラックはドラコに顔を寄せ、何やら話しかけていた。ドラコが気取った笑い声を立てている様子から察するに、ブラックは何かおもしろいことを言っているらしい。一瞬、何が起こっているのか理解できず、スネイプは立ち尽くす。が、次の瞬間、怒り心頭に発していた。

あの野郎、ドラコを拐(かどわ)かそうとしているのか。

スネイプは我を忘れて走り寄り、ドラコの手首を掴みあげると、乱暴にブラックの腕の中から引き摺り出した。

「どういうつもりだ、ブラック」

ブラックは一瞬驚いたような顔を見せたが、その表情はゆっくりと冷笑に溶けていった。

「お前に何の関係がある、スネイプ」

ドラコは心配そうに、二人の教師を交互に見比べている。「僕たち、ただお話してただけです。あの――」

スネイプはこれを無視した。「無論関係があるとも。ここは私の地下牢であり、彼は私の生徒であるのでね」

ブラックは侮蔑を含んだ笑みを浮かべる。「お前の生徒だと。笑わせるな。それに、ドラコが誰と話そうが、お前の知ったことか」

「通常なら、お前に同意もしよう」スネイプは刺々しく言う。「しかしながら、お前のような輩(やから)と交わらんとしているマルフォイ君を見て、黙っているわけにはいくまい」

ブラックはスネイプの鼻先まで顔を寄せてささやいた。「嫉妬してるのかい」

「お前にか。冗談も休み休みに言いたまえ。私は、ただ、マルフォイ君に良かれと思って発言しているに過ぎない」

「俺も、ただ、ドラコに良かれと思ってるだけかもしれないぞ」

「あの、僕、まだ、ここにいるんですよ」ドラコが口を挟む。

「うるさい」二人は同時に叫び、睨み合った。傍(かたわ)らで、ドラコが身体を硬くして口を噤(つぐ)むのを感じる。

「自分の面倒もろくに看られない奴が、何を言う」スネイプは吐き捨てた。「無垢な若者を、お前の気色悪い遊びに引きこむつもりなら、ほかを当たってくれたまえ。加えて、お前には、あの狼野郎がいるだろうが」

ブラックが杖を探るのを察知し、スネイプも迎撃体制を執る。ドラコが慌てて二人の間に身体を潜りこませ、スネイプの胸に、ドラコの背が当たった。

「もういい加減やめてください」ドラコが精一杯の威圧的な声色を使う。

「そうはいかん」ブラックが怒りを露(あらわ)にして唸る。

「右に同じく」セブルスも応じる。

「まあまあ二人とも、それくらいにしなさい」ルーピンの声が廊下の端から聞こえた。怒っているというよりは状況を楽しんでいる様子である。「ドラコ、大丈夫かい」

「ええ、全然」ドラコは落ち着き払って答えた。今にも呪文を掛け合いそうな二人の教師を何とか離そうと、背はスネイプに押しつけたままである。

「それは良かった」ルーピンは三人に近づくと、満足げに微笑む。「さあ、シリウス、行こう」ルーピンはブラックの手にそっと手を重ねて杖を下げさせると、ドラコに向きなおった。「約束どおり、後で来てくれるね」スネイプは固まる。

「ええ」息を弾ませながらドラコが答えた。「ちょっと用事を片づけてきますけど、お約束の時間には伺えると思います」

スネイプは胃の奥に不快な痙攣(けいれん)が走るのを感じる。

「すばらしい。じゃ、シリウス、ここはひとまず、引きあげてもいいと思うよ」

ブラックは一歩下がり、杖を完全に下ろすと、そのまま手をルーピンの掌に滑りこませた。「今日のところはな」ブラックがつぶやくのが聞こえた。

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