have a good

Oct 02, 2009 22:57

高い樫の木の根元に山葡萄の蔓が繁っている。金色の葉が散る林には午後の日が柔らかく差し込んでいて
私は枯れ始めた下草を踏んで茂みに入った。手の届く場所に下がる山葡萄の実を一つ摘んで口に入れると
甘酸っぱい秋の味が広がる。遠くから犬の鳴き声と共に私の名を呼ぶ相棒の声がする。私も彼の名を呼ぶ。
持ってきた袋に山葡萄を摘み取りながら、私は彼の、彼は私の名を、まるで野生の鹿たちのように呼び交した。
彼はもう直ここへ来て秋の収穫を喜び、犬は嬉しそうに私達の足元を駆け回るだろう。私達は満ち足りるだろう。

…すっかりご無沙汰してしまいました。1ヶ月ぶりの5行SSでございます。
復活第一弾はご存知「隠居」シリーズ。田舎暮らしのおっさんらののんびり生活です。
米国人の鹿撃ちは去年、英国人がとぼけたフリをして邪魔して以来やめまして
今年の秋はもっぱら果実やキノコの採集です。釣りもしてますが、今日は葡萄採りですね。

隠居, s/v au

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