Drabble Party #5 〝裏切り〟特集

Jan 21, 2008 21:38

テーマ:「〝裏切り〟特集」

さて今月もdrabbleコンテストの時期となりました。前回ご参加くださった皆さん、ありがとうございました。このエントリーのcommentに、お好きなペアで今回のテーマに沿ったdrabbleを書いてください。また、drabbleは書けなくても感想は書ける、という方も大歓迎です。投稿されたdrabbleに返信する形でdrabble作家さんに感想を贈ってください。

///投稿方法///

タイトルを入れてください(『無題』などは控えてください)。
タイトルと本文の間にこのような形↓でジャンル(ペア)、断り書きを添えてください。ジャンルもペアも映画/海外ドラマ/スポーツ/RPS/歴史であれば構いません(ただし、誰も知らないペアやジャンルですとコメントがつかない場合があります)。

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昔話2題 mitsu_ustim January 31 2008, 04:28:49 UTC
1)狼の恩返し
Actor AU(KU/DW)
Disclaimer: Lies!

昔々あるところに、デイヴィッドという木こりが住んでおりました。
ある寒い雪の日、デイヴィッドが山をてくてく歩いていますと、獣の苦しそうな声がします。
雪を踏み分け近づくと、大きな黒い狼が後ろ足を罠に挟まれ、哀れっぽい上目遣いでデイヴィッドを見上げました。
「かわいそうに。もう捕まるんじゃないぞ。」
罠をはずしてやると、狼はデイヴィッドを振り返り振り返り、山の奥に帰っていきました。

さてその夜のこと。
デイヴィッドの小屋の戸をとんとんと叩く者がいます。
「旅の者ですが吹雪で道に迷って難儀をしています。一晩泊めていただけないでしょうか。」
戸を開けてみると、無精髭の眼光鋭い大男が立っています。
デイヴィッドが思わず後ずさると、男が嬉しそうににこりと笑いました。
笑い顔は思いがけず邪気のない少年のようでしたので、デイヴィッドは男を泊めてやることにしたのです。

翌日も翌々日も吹雪は続き、数日が立ったころ男が言いました。
「お世話になったお礼に機を織りましょう。ただし、俺が織っている間、決して覗かないでくださいね。」
こんなごつい男に機が織れるのかとデイヴィッドが不信に思って部屋の外から様子を伺っていますと。

♪ととと...ぱたり...とっとっ...ぱたぱたた♪

えらい不規則な機織りの音が聞こえてきてますます心配になります。
やがて「痛てっ!」という小さな叫びに、思わすデイヴィッドはからりと戸を開けてしまいました。
すると機の前には狼が座って、自分のふさふさした尻尾から毛を抜いては織り込みながら布を織っているではありませんか。

「見ましたね。」
狼はにこりと笑いましたが、今度の笑いは邪気まんまん。目をぎらりと光らせて飛びかかり、デイヴィッドを押し倒しました。
デイヴィッドは悲鳴を上げましたが、やがて声は熱い吐息に変わっていったのです...

やがて。冬の間に木こりが男の嫁を貰ったらしいと村人たちは噂しました。
嫁の織った布はむくむく暖かいのですが目が不揃いで売り物にならないので木こりが腹巻にしたそうです。めでたし、めでたし。

2)雪おんな
Actor AU(KU/DW)
Disclaimer: Lies!

冬の休日、カールとデイヴィッドは山のロッジで寛いでおりました。
外はしんしんと雪が降っていますが部屋の中は暖かく、暖炉では薪が燃えて、二人の手のグラスには琥珀色のウイスキーが揺れています。

満ち足りた気持ちがカールを饒舌にさせます。
「こんな雪の日には忘れられない思い出があるんだ。昔、親父と雪山に狩りに行って吹雪にあってね。山小屋で酒を飲んでいたら、夜半にばたんと戸が開いて風と雪と一緒に女が入ってきたんだ。全身真っ白で金髪の人間離れした美女だったんだが。」

外の雪が一段と激しくなり、部屋の温度がふいに下がったように思えます。デイヴィッドの眉間に縦皺がよりましたがご機嫌なカールは気がつきません。
「その女が親父にふっと息を吹きかけると親父はぱたりと気を失っちまって。女は俺を振り返ると
『お前は見逃してやろう。だがこのことは決して誰にも話してはならない。』
って言ったんだ。」

強い風が窓ガラスに雪を叩きつけ、暖炉の火が急に勢いを失いました。デイヴィッドの手が掴んでいるグラスの表面に薄っすらと霜が降りています。
「それで翌朝になってみたら親父は全身しもやけだったんだよ。不思議な話だろう?」
くすくす笑いながらデイヴィッドを見たカールはその冷たい無表情に固まりました。

燃え尽きた薪が炭となって崩れ、部屋は今や身震いするほどの寒さです。
「あれほど人に話してはいけないと言ったのに。」
デイヴィッドが手を伸ばしてカールの頬を撫でますと、氷のような冷たさにカールは飛び上がりました。
「デ、デイヴィッド!まさかお前...」
「さよならだ、カール。」
一瞬、哀しげな瞳でカールを見つめ、デイヴィッドはドアを開けて外に出て行きました。激しい風と雪が戸口から舞い込みます。
「待ってくれっ、俺が悪かった!」
カールは後を追って戸口から飛び出しましたが、四方を激しい吹雪に囲まれて視界を塞がれ、恋人の姿を見失ってしまいました。
「デイヴィッド!」
カールの悲痛な叫びも吹雪の中に吸い込まれていきます、と。

ばたん、と背後でドアが閉まりました。
振り返ると締まったドアの脇の窓からデイヴィッドが覗いています。ドアの陰に隠れてカールをやり過ごしてから中に戻ったのでした。

「よかった!もう二度と約束を破らないからどこにも行かないでくれっ。」
「寝ぼけてないでボイラー室に行って様子を見てくれよ。やけに部屋が寒い。ついでに薪を取ってきてくれ。」
感動のせいか寒さのせいか涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにして笑うカールにデイヴィッドはジャケットと手袋を投げてよこしました。

「でも、部屋の温度を上げたらおまえ溶けちまうんじゃないか?」
心配そうなカールにデイヴィッドは盛大に溜息をつきました。
「そんなわけないだろう。おまえが女の話なんかするから仕返しにからかっただけだ。でももうあんな話はするなよ。頭がイカれてると思われるぞ。」

なんだ、嫉妬したのか、可愛いなとほざきながらボイラー室に向かうカールの背中めがけて、デイヴィッドは何も無い手のひらにふっと息を吐きかけて雪玉をひとつ作ると、ぴしりと投げつけたのでした。

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またも小学生のような話で申し訳ございません~。
締め切りぎりぎりまでうんうん唸って考えましたがこんなになってしまいました。
ジンさんからレッドカードもらうんじゃないかと心配です。

ご好評をいただきました白熊&犬の動画を見つけましたのでお口直しにどうぞ↓
http://pvkiss.com/animal/post_18.html

みなさまの素敵drabbleへの感想は後ほどじっくりさせていただきます♪

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Re: 昔話2題 dwhiyoko January 31 2008, 11:20:30 UTC
わーーい♪世界迷作(?)劇場だぁ!!
今回は難しいのかなぁと思っていましたが、さすがみつ様。
あきれるくらい、甘甘でアホウな狩公が素敵(?)です。
特に雪おんな編はイイですねぇ。けんけんいちゃいちゃな二人のお話は幸せで、ほっこり気分で眠りにつけます。
S記者

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Re: 昔話2題 mitsu_ustim February 2 2008, 07:16:57 UTC
S記者さま、こんなアホウな狩公をすみません~暖かーいお言葉をまことにありがとうございます(平伏)
S記者さまのアイコンのようなかっちょいいぴりっと締まった狩が大好きですのに、いやはや。
いつかスクリーンで共演してくれませんかねぇ(夢)

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(The comment has been removed)

Re: さ、さすがです~! mitsu_ustim February 2 2008, 07:27:55 UTC
bittercaramelさま、気をもんでくださったんですかっ、ありがたや~(嬉)
私こそbittercaramelさんのdrabbleが今回読めなくてえらい残念です。
お題があるとみなさまがどんなのを書いてくださるのか読むぶんにはとても楽しいのですが自分が書くと青息吐息。
求婚者に難題をふっかけるかぐや姫みたいな方だ、ジンさん。

熱くて切ないハードボイルドが大好物なのに、自家発電できないことがよく分かりました。みなさま、発電して熱を分けてやってくださいぃ。

あ、白熊と犬でお口直ししていただけてよかったです。可愛くて悶えちゃいますよね~♪

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Re: 昔話2題 xins_drabbles January 31 2008, 18:01:12 UTC
また……!
腹痛いってばよ~みつさん! 私が一番ツボにはまったのは、淡々とした語り口で「男の嫁をもらったらしい」って平気で書いてるところ……男の嫁って矛盾してるから……村人誰かつっこめよ!
しかも腹巻にしちゃったよ! デイヴィッドも現実をあるがままに(あんま深く考えず)受け止めてるとこがたまりません。

雪おんなはぶじにハッピーエンドに! 最高です~きっと夜二人で楽しんだらば朝ベッドばびっしょうりなんでしょうね(違う意味で)。しかしここはさすがに雪おとこではないんですね。みつさんの世界名作シリーズ、狩公はもう勝手にやってろって感じ。どんな状況でも愛を成就してくれるから。

雪おんなって、こうして考えてみるとすごくよくできた話だなと思いました。だから語り継がれてるんですね。そして、どちらもちゃんと「裏切り」。みつさん、お見事です♪

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Re: 昔話2題 mitsu_ustim February 2 2008, 07:36:21 UTC
ジンさん、ご多忙でしょうにいつも暖か~いコメントをありがとうございます~。
「男の嫁」、何の違和感もなく書いてました。危ないなぁ。
木こりが比較的短時間で乱入したため、布は腹巻くらいの長さにしかならなかったようです。(真面目に考えて書くことじゃないか。)

みなさまの素敵drabbleを拝読していると自分がおミソちっくに思えてくるのですがジンさんのスタンプ溜めたいので恥を晒してがんばります。

読んでいるだけの方ぁ、いらっしゃいましたら次回は投稿なさいませんかぁ?(おミソ仲間募集)

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むくむく! mui2 February 2 2008, 13:35:29 UTC
世界名作劇場で「裏切り」! そうきましたか〜。
読みながらかわいくてニマニマしてしまいました……うう、カール、かわええ……。そしてデイヴィッドってば相変わらずクールなんだか、甘いんだかv
「恩返し」の方は、狼の織った布のむくむくがツボ過ぎて悶えました。デイヴィッドが押し倒されつつも狼を飼い慣らしてしまったんだろうなあ、と。くー。
「雪女」はオチがきれいにまとまってました。なにかデイヴィッドらしい(?)それにしてもカールがかわいすぎる。ハァハァ。

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Re: むくむく! mitsu_ustim February 3 2008, 14:22:16 UTC
むいむいさん、カールかわいいですか?あ、ありがとうございます~(恐縮平伏)
デイヴィッドに飼いならされたカール!うはー、こちらこそハアハアですっ。
そんな映画がみたい(殴)

S記者様に教えていただいた男前狩写真をお口直しにどうぞ↓
http://pics.livejournal.com/kitty_trio/gallery/0001a8kk

ところでこれもS記者様に教えていただいたんですが、藻っさんはロシアンマフィア映画の中で"サウナ室で全裸で格闘"なシーンを演じているんですか?な、なんて危険な...

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