- Title: 愛の巣
- Language: Japanese
- Rating: G (Pre Slash/微腐)
- Pairing: KS/TT (the alfee)
- a disclaimer: Of course, it's all fiction. すべて妄想の産物です
- Summary: Inspired by their stage, 6/22 2016 at Kanagawa Prefecture Hall
何十年続けていたって、ライブの直後の高揚感は悪くないもので、シャワーを浴びて私服に着替えた坂崎は、鼻唄まじりに自分の楽屋に向かって廊下を歩いていた。少し休んでビールを飲み、気心知れた来客と会い、ゆっくり帰れる首都圏ならではの気安さだ。
楽屋のドアに手を掛ける直前、突然に長身の人影が現れたかと思うと坂崎の身体は横の壁に縫い止められた。
一瞬恐慌した坂崎だったが、目の前に見える見覚えのありすぎる華やかな長髪は紛れもなく高見沢のものだった。
「ねえ坂崎ィ、ここを俺たちの愛の巣にしようってこういうこと?」
ステージのアドレナリンがまだ抜けないのか、やたらきらきらした目ぢからで見下ろされながらすごまれる。片手は坂崎の真横の壁、もう片手は坂崎の腕をつかんでいる。これはいわゆる、噂に聞く壁ドンというものではないか。
やはりシャワー上がりなのだろう、さらさらと流れるような髪からはふんわりといい匂いがする。なんならこんなところじゃなくてドア開けて俺の楽屋で続きしようぜ高見沢、そんな不埒な思いについ頬が緩んでしまう。
「・・・いいよ?」
坂崎の不敵な上目遣いに今度は高見沢がひるむ。
「せっかくのいい雰囲気のMC、毎度潰しにくんなよ!」
一応恨み節を吐いてみるものの、言葉には力が入らずつい笑ってしまう。
「潰してる?何をおっしゃって、ああやって持って行ったほうが盛り上がるじゃないの」
坂崎にしてみれば、何度同じくだりをやっても呆れ顔になる高見沢を見ているのが面白いのだ。
「オレだってたまにはさ、GSバンドのフロントマンみたいなノリでキャアキャア言われるMCやってみたいの!」
駄々っ子みたいになる高見沢はやっぱりかわいい。体格差に負けてこうして壁に追い込まれて思うことじゃないか、と自分にツッコミを入れながら、坂崎の喉元まで逆転のセリフが出かかる。
ーーーわかったよ、これからは二人だけの時しか言わないことにするよ。
しかしその一瞬前に、颯爽とした足音にさえぎられてしまった。
「お前ら何やってんだよ!ここにきてバンド内で週刊誌沙汰とかやめてくれよなあ!」
さっと坂崎と高見沢が振り返れば、そこにはバスローブにターバンで自分の楽屋から出てきた桜井の心底あきれ返ったような顔が。
「そんなんじゃねえよ!あはは!」
心底楽しそうな声で高見沢が笑い、坂崎から離れる。
「いやあちょっと怒られちゃってさあ」
坂崎はまだ壁にもたれたまま、頭を掻きながら高見沢を見送った。
終わり