「死神と少女」レビュー

Aug 10, 2011 21:19

「死神と少女」をやっとフルコンプしました。
まず最初にこのゲームは好き、嫌いが分かれるタイプのゲームだと思いました。ちなみに私はどちらでもないですね。好きなところもあれば嫌いなところもありました。
そしていつものTakuyoゲームとは違います。Takuyo独特の笑える要素が今回のゲームには無いので自分には少し物足りない気がしました。「星色のおくりもの」もいつものTakuyoとは違う感じで恋愛小説みたいなゲームでしたが、「死神と少女」はストーリー重視でファンタジー要素が強く(非現実的)、甘さ(恋愛要素)控えめのゲームでした。ジャンルが「幻想物語アドベンチャー」と書いてあるので乙女ゲームとは言えないのかもしれない。公式HPの絵で騙された人は何人もいるだろうと思いました。普通の恋愛シーンの多い乙女ゲームに飽きた方には「死神と少女」は楽しめるゲームかもしれません。
ゲームの全体の雰囲気は綺麗なのですが、綺麗だけでは終わらないのがこのゲームの魅力だと思います。読んでいてなんとなく漫画「フルーツバスケット」のことを思い出しました。両作とも言葉選びがとても上手いので感動しましたし、考えさせられました。

このゲームのオススメ度は5点満点中3点です。絵や音楽はとても綺麗で満点をあげたいところなのですが、シナリオに少々難あり。独特の世界観のせいか全体的にストーリーは静かで暗いです。そして全キャラクターはなにかしら心に影を持っています。キャラクターによってはかなり暗い感情を胸に秘めている人物もいるのでそうゆうのが苦手な方にはオススメできません。ちなみにこのゲームのテーマは「孤独」と「希望」だと私は思いました。

あとフルコンプしてやっと全ての話が繋がりました。このストーリーの全貌はフルコンプをしないと分からないようになっています。
いろんな物語が重なりあっていて、とても緻密に書かれているので驚きました。シナリオライターさんは随分考えてこのシナリオを書かれた事だと思います。
一つの話の流れに色々な話を詰め込んであるのでとても読み応えがあり、一冊の短編集を読んでいる気分でした。
この話の繋がり方が私の大好きな漫画「封神演義」と似ていてとても好きです(最後に全ての話が繋がり納得できる終わりとでもいうのでしょうか・・・)
ただ、乙女ゲームというよりライトノベルをゲームにした感じが強いです。一応主人公の遠野紗夜の視点で話が進みますが、主人公の心情描写がかなり細かく書かれているのでテキスト量が半端なく多いですし、主人公は独特な雰囲気を持っていて常に敬語で話すので感情移入しづらいです。そのせいもあって主人公の視点で書かれているのに第三者の視点で物語を読んでいる感じが常にありました。
あと恋愛要素が低く、EDは複数ありますがメインの話が大多数を占めていてキャラルートに入ってもあまり恋愛描写が少ないので、「彼はいつ主人公のことを好きになったのだろう?」という疑問が絶えませんでした。
このゲームの登場人物はみんな個性的なので読んでいて面白かったです。ちなみに攻略後はキャラクターの印象はだいぶ変わったので、どのキャラクターも好きになれました。ただ夏目君を攻略できないのは残念でした・・・(でも千代は攻略できますよ!)
あと面白いなと思ったのはキャラクターの名前の由来、本のタイトルやストーリーの内容ですね。

キャラクターの苗字を有名作家と同じ苗字や名前にしたり。
夏目悠希 → 夏目漱石
宮沢夏帆 → 宮沢賢治
太宰ともゑ → 太宰治
ルイス → ルイス・キャロル
ヴィルヘルム → ヴィルヘルム・グリム
などなど、このことに関してはメッセの設定資料集に詳しく書いてあるらしいです。ちなみに自分はメッセで買っていないので本当のところは分かりません orz 他のキャラクターの由来はなんとなく分かっていますが自身がないのであえて書きませんw

有名作家が書いた本のタイトルを意識して本のタイトルを付けたり。
I Am a Cat → 吾輩は猫である (夏目漱石)

ストーリーの内容も有名作品の内容に似た内容にしたり。
夢十夜 (夏目漱石)
ラプンツェル (グリム童話)
白雪姫 (グリム童話)

本を読むのが好きな方にはこうゆう演出は面白く感じられると思いました。他にも宮沢夏帆が話していた夢の内容が宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思わせるようなシーンもありました。他には千代さんの「お嬢さん」は夏目漱石の「こころ」からきてるのかなと思いました。自分が気がついたのはほんの一部なので探したらまだまだ沢山あると思います。
個人的には第三章の後半のお話が一番好きでした(ただ第三章の前半は夏目君好きにはかなり辛かった・・・)。ヴィルの話は☆ネタバレ注意☆(白文字にしました→)ぬいぐるみが大好きな私にはとても素敵なお話で心を打たれました。そして第一章は真相が明らかになってもっと怖くなったwww
このゲームで一番好きなキャラは桐島先輩と夏目君ですね。ちなみに桐島先輩のEDが一番良かったです。あと千代さんのお話はとても切なくて印象に残りました。
そして最後の最後に完成した遠野十夜の「死神と少女」の本を読みました。今までゲーム内で起こった物語を上手く一つの本にまとめてあり、何故か心引かれる内容でした。

それにしても「CEROは相変わらず仕事してねーな」と思ったのは私だけでしょうか?www これがCERO Bだとか信じられんわ(特に日生先輩ルートと十夜ルート・・・)。
そしてやっぱりこのゲームのBGMはいいですね!「アニメイト限定版を買っとけばよかった」と今更後悔しても仕方がないですよね(結局他のものに出費してて通常版しか買えなかった orz いつも思うけどアニメイト限定版は高すぎ!)。まあ一応PSPで聴けるので飽きがくるまで聴きたいと思います。
このゲームのことに関して書きたいことはまだまだいっぱいありますがキリがないのでここら辺で終わりにしたいと思います。
自分の考えがなかなかまとまらなくて拙い文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとございました m(_ _)m このレビューを読んで気になった方は是非一度プレイしてみることをオススメします。

review: game

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