大野智‧朝日 彩・美・風 Special Column 2008.11.19

Dec 02, 2008 21:09

「好き」と向き合って

個展の初日、お客さんが誰も来なかったらどうしよう、と思って会場の陰から中をこっそり見た。初日なのに自分は見えないところにいる、っていうのがおもしろい。舞台とかコンサートの初日だったら表に出なきゃいけないのに。でも来てくれた人がみんなすごくいい顔してて、感動しちゃった。
 個展を開くまで、大変だと思ったことはない。スタッフさんもみんなステキだったし。作品は自分で作るけど、それをどう個展や作品集っていう形にしていくかはみんなで話し合ったから、すごくおもしろかった。毎週会議をやってた時もあって、「どうしたい?」って意見を求められても「わかんない、みんなで考えようよ」ってやりとりを永遠にやってたの。舞台はまず台本があるし、嵐のコンサートは規模がでかすぎて何もかもすべて話し合うわけじゃない。骨組みから全部やったのは初めてで、達成感はすごくあったよね。

個展を見てくれた人から「才能あってすごいね」ってよく言われた。でも才能ってよく分からない。好きだから必死でやってるだけで。好きなことにどれだけ夢中になって、時間をかけるかってこと。そういう意味では江戸時代の画家の伊藤若冲(じゃくちゅう)なんて大好き。生き方が好きなの。あんなリアルな鶏を描くなんて、相当観察してたんだと思う。あの時代は写真なんてないしね。1人で家にこもって鶏をずっと見てるなんてすごい暗いじゃん。そんな姿を想像するとおもしろくて、絵を見てても楽しくなっちゃうんだよね。

自分もとにかく楽しくてやってた。それを知ってもらいたくて、作ってる時の写真も会場にいっぱい飾った。みんなの「好き」を改めて振り返るきっかけになってくれたらうれしいです。

http://www.asahi-mullion.com/column/saibifu/81126index.html

art, arashi, ohno satoshi

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