大野智‧朝日 彩・美・風2008.11.19

Dec 02, 2008 21:06


自由に描いた感情の形

「個展を開きたい」。自分から「これがやりたい」って事務所に言ったのは初めてだった。
 作品がちっちゃいから、本当は雑貨屋チックにこぢんまりやりたかったの。で、決まったのが表参道ヒルズ。こんな広いところでやってもスカスカじゃん、って思った。1個1個のフィギュアが何メートルかごとにぽつんぽつんと置いてある、くらいしかイメージできなかったから。個展ってどんなものか、知らなかったから。横浜とか都内のギャラリーに下見に行って、フィギュアを写真に撮ってでかくしたり、絵を引き伸ばしたりできる、ってことがやっと分かった。だったら工夫すればなんとかなるのかな、って。

それに、やっぱりでかい絵も描き下ろすことにした。「よし、紙を買いに行こう!」と思ったんだけど、それを抱えて電車に乗ると思うと恥ずかしくて、家にある画用紙をはり合わせることにした。それも味になる、って。真ん中の「SATOSHI」の文字から描き始めて、電車のつり広告とか、海外で乗ったタクシーの運転手のハゲ頭とかくだらないことを思い出したり、逆にハッピーじゃない時に「HAPPY」の文字を描いたり、思いつくまま細かくペンを動かしたら最終的にタツノオトシゴの形になってた。

今見ると、「この辺行き詰まってたなぁ」って思い出すね。よく見ると丸ばっか描いてるところもあるし(笑)。「いつ終わるんだ、この絵」と思いながら、完成まで1カ月半かかった。

それまで写真や雑誌からイメージを膨らませてリアルに絵を描くことに集中してたから、この絵で初めて自由になれたと思う。こういうのはいつかもう1回やる。今度はもっとでっかーく、ゆっくーり描いて、色を塗りたいね。
http://www.asahi-mullion.com/column/saibifu/81119index.html

art, arashi, ohno satoshi

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