ミスチャンの”フレンチ・ミステリ”という宣伝文句には、何年か前の某ドラマでずっこけていらい^^;自分のテイストには合わないという固定観念が出来て、全く食指が動かなくなっていました。
しかしこの夏から「ニコラ・ル・フロック」に再挑戦してすっかりハマり…。
近年はやたらベッドシーンが出てくる作品にも食傷して観賞脱落のトップ条件ともなっていましたが、ニコラと愛人サテンのベッドシーンは絵画のように美しく、二人のキャラクター・関係性も面白みがあって、やたら出てきても全く無問題。
何より、ニコラを愛する脇キャラ(♂)たちが、エピソードが進むにつれて味が出て来てどんどん愛着が湧いてきました。
顔白塗りで何種類ものカツラのお手入れにいそしむサルティンヌ警察総監など、次に何やらかすかはやく見たくてしかたありません。
さて、ハマったといってもなんたってニコラは”王立警察”だしコスチュームものだし”フレンチ・ミステリ”の枠のなかでは異色なんじゃないか。
クリスティのフレンチ・ミステリって、それただの二番煎じ?
と、まだフレンチ・ミステリへの偏見がぬぐわれていなかった自分は、axnミステリ放送のクリスティのフレンチミステリ第一話「ABC殺人事件」をすっかりスルーしておりました。
ニコラもch銀河のモースも終わって寂しくなったので
(モースのあとはルイス新作だと思っていたのに「フロスト」と「第一容疑者」だなんて渋すぎラインナップなチャンネル銀河さん、というのは置いといて)
第2話「無実はさいなむ」をお試しで録画してみたところ…。
あらっ、フランス警察庁が誇る名刑事、ラロジエール警視の若き部下ランピオンくんって、隠れゲイって設定だわ。
容疑者のひとりとあやしい雰囲気になって、勇気を出してチューまでしちゃいました。
高慢で独善的なラロジエール警視にやたらこきつかわれてるランピオン君だけど、なんだか二人すごく仲良しだし。
えーと、もしかしてランピオンくんは警視に片思いなんですか?
第3話「動く指」
女性とデートしてたラロジエール警視は、ランピオンが銃撃戦で重傷を負ったという知らせにショックを受け、女性をほっぽって病院に急行。
簡単な事件だからと一人で行かせた自分のせいだ、と自分を責める警視(でもランピオンにはぜったいそう言わない。ランピオンは自分にとって息子のように大事、と他の人には言うのに本人には絶対言わない)。
ランピオンがゆっくり静養できるよう費用自分持ちで空気の良い田舎に連れていきます。
宿についたとたん偏屈な老女将に「男二人で泊まるって、変な噂たてられちゃこまるよ」と言われてるし。
陰気な田舎の陰気な宿で、ランピオンはラロジエール警視に「おいていかないで~」と半泣きですがるものの「連れてきただけだから」とさっさと帰ろうとする警視(笑)。
しかし警視の心にとまる孤独な少女との出会いがあり(警視は大人からロリまで幅広い女性好きなようで)結局宿に戻って村にとどまることに。
そして事件が次々と起こり、ある事件で死体をランピオンの部屋に安置することになります。
死体に寝床を占領され涙目の部下に「死体には慣れるもんだ」などと非情なセリフで自分の部屋に泊めようとしない警視(ベッドが狭かったせいか。
ちなみにラロジエール警視はランピオンが隠れゲイであることを知っていて、理解してあたたかく見守っているつもりのようでありますが…)。
けなげにも死体の横で寝てみようと試みるランピオンでしたが、
結局無事(笑)こうなります。
翌朝の場面がまた爆笑で、完全にハマりました。
第4話「エンドハウスの怪事件」
海辺のバカンスに退屈でうんざりしていたラロジエール警視は、若き美女と出会い恋におちます。
美女が殺人の標的になっていることが判ると、これからバカンスに出ようとしていたランピオンを強引に呼び出し、雑用係として屋敷に潜入させ捜査を手伝わせます。
ランピオンは今回も容疑者の一人(おっさん)に色目を使われ、これくらいの金額でどう?と札束までちらつかされプライドを傷つけられます。
それでも身分を隠して懸命に捜査を続けるランピオンに、恋に夢中になってる警視はいつもよりいっそうキツイ言葉を投げつけます。
最後には「愛を知らない君にはわからんだろう」とまで警視に言われて心底傷つけられるランピオンくんですが、やっぱり警視のことが好きらしい。
なにこの報われぬ愛。
警視、大人からロリまで広き女性好きの射程範囲をちょこっと広げて、繊細で一生懸命な青年部下も入れてあげてください。
第5話「鳩の中の猫」
名門女子校のお話で、『騎馬警官』シーズン2「もう一度君のために」をちょっと思い出し楽しかったです。
詳しく書きませんがやっぱり同性愛ネタが豊富でした。
クリスティのドラマには結構出てくるなと思っていましたが、このフレンチシリーズはコンビの一人がまさにそうなので毎回ワクワクするエピソードが・・・(ワクワクすな)。
真面目に考えると近年見るクリスティの二時間枠ドラマは、ある世界になじめず嘘の中で生きようとしていた人が、事件を通しさまざまな人の仮面が剥がされてゆく様を見たり、真実のために勇気を出して行動してみたりして自分のアイデンティティを取り戻し、新しい世界に胸を張って生きてゆく、みたいなエピソードが多く面白く感じてます。