Kinaさんへの贈り物

Dec 30, 2007 20:05

d_jools kinaさん 宛のクリスマスプレゼントです。
クリスマス期間経過のため掲載します。

Title: 舞踏会の後に
Langage:Japanese(日本語)
Author: miyabi(miyabinohana
Fandom: Harry Potter
Type: Fiction Angest
Category: Gen
Length:? (uncounted)
Main Characters: SS, MM and others
Pairing: SS/MM (Gen)
Warnings: Spoilar Book7
Series: No
Rating: PG
summary:最後の戦いの後,はじめての舞踏会、マクゴナガルは一人思いを巡らせる。


Merry Cristmas kina
A small gift for you.

戦いが終わって初めての冬至祭舞踏会。
見慣れた顔は減ったけれど、
これは束の間の平和かもしれないけれど、
失われた者達への悲しみはまだ薄れることなくそれぞれの瞳の中に影を落とすけれど、

それでも、
すぐ明日への憂いがない冬至祭を寿ぐ華やぎは何物にも代え難い。
舞踏室の真ん中でくるくるとまわりつづけるハリーとジニー、
隣でやはりくるくるとまわるハーマイオニーとロン、
壁際に席を取って何やら語らうネヴィルとルーナ。
あの、ネヴィルは9月からホグワーツでポーモラの助手をしている。
相変わらず、のんびりなところはあるけれど、
安心してみていられる、
みんな3人組の活躍に注目しているけど、
私はネヴィルがホグワーツの7年間で一番目覚ましく成長した生徒だと信じている。
蛙を追って飛び出してきて、おびえた顔で私を足下で見上げた入学の日。
友達に正義を解いたとダンブルドアから賞賛され、
はにかみながらも誇らしそうな顔をした学年終了パーティ。
5年生の時にはハリーを助け、神秘部への潜入も果たした。
進路指導では、祖母を思いやるあの子の優しさと優柔不断さに、
思わずオーガスタに一筆入れてしまったけれど。
父親の形見の杖ではなく、
自分の杖を手に入れてからのあの子の魔法力の成長は本当に目覚ましかった。
英雄として散った父親の影から抜け出せたのだろう。
でも、それは本当は杖が変わったからではなく、
ハリーと共に戦ったことで自分に自信を持てたから。
そして、7年生で、3人組と逃避行こそ共にしなかったとはいえ、
ここ、ホグワーツに残って彼は本当によく戦った。
戦場でという意味だけではなく、
日々繰り返される教師やスリザリン生からの嫌がらせに屈することなく、
まっすぐな魂を保ち、監視の目をかいくぐって仲間を励まし続けた。
彼がいたから闇側に屈せずに済んだ生徒が何人いることだろう。
そして戦場ではあのナギニを屠った。

スリザリン生の姿もちらほらと見える。
結局、今学期からあの組み分け帽子による寮制度を続けようかどうしようか随分と議論があった。けれど、結局帽子による組み分けは存続となった。
戦争終結の象徴として廃止を訴える声も大きかったが、
やはり卒業後の人脈やある種の利権に関わることであり、
卒業生や父兄は個人的には制度廃止に反対だった。
それに、あの帽子には4人の創設者の思いが込められている。
帽子はやはりホグワーツの象徴なのだろう。
あの帽子による組み分けが問題なのではない。
要は、生徒達を社会がどのように導くかなのだろう

おや、ハーマイオニーとロンは曲が終わる前に
踊りながらなにやら口論を始めたようだけれど、
最後にはなんとか手を取りあって踊りおえられた様。
恋人同士が口論する様子、
それさえも微笑ましく見える。

ふと、壇上に目を戻すと、
長年共に生徒を教えて守ってきた教師の顔も
今日は格段とやわらかい表情を浮かべている。
順番に教授達と目を合わせ、互いにこの幸福を噛みしめ、
軽く微笑みを交わしていく。
最後の一人を笑みを交わして、私はため息をついた。
今まで必ず最後に微笑みを交わしあったあの青く煌めく瞳がないことに。
皮肉な黒い瞳がないことに。

全てが明らかになった今、
私はアルバスをどうとらえて良いのか決めかねている。
彼の考えは最後までと言うか死後にも私は全く読めなかった。
私が単純すぎるのだろうか。
でも、たとえ偉大なる善というものが見えたとしても、
私は彼のように振る舞えなかっただろう。
周囲は私に第二のアルバス・ダンブルドアとなることを期待しているけれど、
ただ一つ分かっていることは、
私はアルバスのようには出来ないし、
したいとも思っていないし、しないだろうこと。

そして、セブルス。
彼と生徒の処遇について口論しあった日さえも懐かしい。
彼のことを考える時には、涙なしにはいられない。
彼はそんな私を見たら、口の端をゆがめて嘲笑うだろうけど。

気づくとだいぶ夜も更けてきて、
舞踏室に残る生徒もまばらになってきた。
そろそろ若いスタッフに任せても大丈夫だろう。
涙を隠すように、微かに微笑みを浮かべ、
大広間を辞去した。
私の脚は自然とあの場所に向かった。
彼との最後の邂逅となった、運命の廊下へ。

歩きながら、何度考えても仕方がない繰り言にまた思いをやる。
学生のあの日、もし私がリリー・エバンズを説得して、
太った夫人の前に座り込むセブルスとの間を修復できるようにしていたら、
ポッターにあれほど言いくるめられず
…私はグリフィンドールを映したような気性のハンサムで学業優秀なあの一味に、甘すぎた…
セブルスへの嫌がらせをやめさせていたら。
いくら他寮生とはいえ、闇の魔術に傾倒していく彼に、
あの、暗く寂しい瞳をした少年の心情をおもんばかって、
本物の友情と信頼を唯説くのではなく、身をもって示していたら。
彼が戻ってきた夜、
アルバスを問い質してどのように彼を味方に引き入れたのか聞き出していたら。
同僚として過ごした日々、
彼の皮肉な言葉や表情に隠された真実に気づいていたら。
彼が校長として彼が戻ってきたときの行動をもっとよく見極めていたら。
そしてあの運命の夜、
私が投げつけた「臆病者!」という言葉を投げずに済んでいたら。
もうすでにきつく鎧われた彼の心には何も知らない私が放つ言葉は刺さらなかっただろう、
けれど、けれど、それでも彼にってはもっとも聞きたくないそしてもっともふさわしくない言葉だった…

やっとここまで辿り着いた。
杖が必要なこの身をここまで運んでくるのは正直骨が折れた。
けれども、晴れやかなパーティの後、なぜか一番晴れやかさとはほど遠い彼の姿を最後に見たここに来たかった。
この壁は結局彼の形に穴が空いたその形のままふさがれた…
学校運営委員会に掛け合ったが、彼の肖像や彫像を校内に置くことに賛同は得られなかった。彼は最後に職務を放棄した校長だったから…
だたか、彼の姿はホグワーツの中にはここしかない、
記念室に残されたいくつかの集合写真をのぞけば。
でも、写真などなくても彼の姿ははっきりと心の中に映し出せる。
彼にずっと目をやらずにはいられなかった。
闇色の昏い瞳をした着古したローブを纏う少年に、
大蝙蝠と渾名された漆黒のローブを翻して歩く姿に、
あの皮肉な瞳と唇の下に隠された孤独に惹きつけられずにはいられなかった。
けれども、その孤独と私たちが自ら作り出した心の壁が、互いに寄り添うことを妨げた。
今更だけれど、
ただの感傷にすぎないことも分かりきっているけれども、
貴方を思わずにはいられない…

尽きせぬ思いを込めて、
"Happy Yule. Severus"
私は、冷たい壁の-彼の頬があった場所-にそっと口づけた。

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