Salvation Ch. 6 >4

Nov 28, 2006 01:21



『Salvation ――救済―― 』 の翻訳を更新しました。Here is the new part of the translation of Salvation.
スラッシーな内容に、ご注意ください。Please be warned of slashy contents.

Author: Isis様 (isiscolo)
Rating: 時々18禁 (Occasionally NC-17)
Pairing: Snape x Draco (途中リバあり)
Previous: これまでのお話
Summary: あらすじ

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このスラッシュの翻訳は、原作者のIsis様 (isiscolo) のご許可をいただいて掲載しております。
原作はこちら: http://hieroglyfics.net/hp/salvation.htm

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スネイプは、机上に開かれた本を睨みつけていた。ダンブルドアに教えてもらった魔法を試しているのである。魔法の数占学の部分は、複雑ではあるが理に適っており、計算に丸々午前中を費やしたものの、満足のいく結果を導きだすことができた。問題は、昔から苦手な呪文学部分だった。スネイプは常々、くねくねと杖を動かして下らないと、呪文学を馬鹿にしていたのである。しかし、夕食の時間にもなると、下らなかろうと下らなくなかろうと、募る苛立ちに、自分の杖をへし折らんばかりだった。

大広間へ向かい、食卓を目指して猛進する途中、校長の視線に気づき、静かに首を振る。いつものように、ミネルバとイルマのあいだに着席しようとして、考え直した。今日あの二人に挟まれるのは、ご免蒙りたい。スネイプは方向を転換し、呪文学教授の隣に座ることにした。

「フィリウス」と呼びかけながら、腰を下ろす。「実は……ある魔法を試しているのですが、呪文学部分がうまくいかないのです。助けていただけませんか?」

フリットウィック教授は、くっくと笑った。「ああ、セブルス。君から助けを求められる日がくるとは思わなかったよ」

フリットウィックの表現はかなり控えめだった。二人は良き同僚であったが、スネイプはこれまで、呪文学に対する軽視を隠そうとしたことはなかったのである。常々二流だと軽んじていた学問分野に関し教えを乞うのは、大いに癪だったし、必要以上に私生活を曝けださねばならぬのも気に食わなかったが、背に腹は変えられまい。

まあ、いずれにせよ、この忌々しい呪文学の魔法が成功するころには、学校中に知れ渡っているかもしれない。というのは、ドラコがルシウスの束縛を逃れることができて、五体満足で学校に戻ることができたらの話だが。――そして、ドラコがスネイプを許すことができたら。もしドラコが許してくれなければ、魔法が成功する望みは薄いだろう。というのも、この類(たぐい)の魔法に必要なのは、夜ごとの逢瀬や密やかな恋情ではないからである。

フリットウィックが期待を込めた眼差しで見つめているのに気づき、スネイプは嘆息しながら言う。「アンプレクサス・プロフンドの魔法を試しているんです」魔法の名前に、フリットウィックの片眉が上がるのを無視して続ける。「ですが、力が正しく還流している手ごたえを感じることができないのです。そこで、何を間違っているのか、と思いまして」

「一つお聞きしても宜しいかな?……いや、やめておこう」フリットウィックは考えこみながらも、鶏脚に噛りついている。「その……対象……の方角と距離は正しく把握しておられるのかな?」

「あなたに聞いているんです。ベクトル教授ではなく」スネイプは当てつけるように言う。

「結節点には何を使っているのかね?」

「受信点は装身具です、銀製の。とても古いもので、私の家に何代にも渡って伝わっているものです」

フリットウィックは頷く。「銀は大変結構。受信点に問題はなさそうだ。長く伝わっているというのも効果的だろう。では、送信点は?」

「衣類です」スネイプはドラコの部屋に忍びこみ、私事(しじ)を侵害することに居心地の悪さを感じながらも、絹製のタイを持ちだしたのだった。

「肌に直接身に付けるような衣類かね?」フリットウィックの眉が再び上がる。

スネイプは意地でも顔を赤らめないよう、静かに息を吸いこんだ。「違います」

「まあ、そこが問題なんだな。衣類では形が心許(もと)ない。もう少し、しっかりしたものが必要だろう」

もう少し、しっかりしたもの。スネイプはほかに何が部屋にあったかを思いだそうとした。教科書類――当然のことながら――しかし教科書では、対象との感情的繋がりが足りないだろう。調度を持ち去るわけにもいくまい。「大鍋はどうでしょう?」

「そうくると思ったよ」ちびの教授は一年生の女子のようにくすくす笑った。「受容体が君だったら無論うまくいくだろうがね。対象は、君と同じくらい魔法薬学に入れこんでいるのかね?」

スネイプは鼻を鳴らす。「入れこんでいるのは、むしろクィディッチでしょうね」

「ほら、答は出たじゃないか。対象の箒を使いなされ」

夕食の席であるということも忘れ、スネイプは瞬時に大広間を駆けだしていた。

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