HBP Trial Translation

Sep 04, 2006 09:00



漸く邦訳版HBP――またの名を『なぞプリ』――を買ったので、昨年戯れに試訳した「 Sectumsempra」と「 The Unbreakable Vow」のシーンのフレンドロックを外しました。
(多分、『なぞプリ』を買うことと、フレンドロックを外すことは本来関係のないことですが、一応公開する前に、本家を読んでおかなくては、と思ったので。)

I finally bought the "Nazo-Pri" or the official Japanese translation of the HBP. So, I hereby un-friendlock my trial translation of the " Sectumsempra" and " The Unbreakable Vow" scene that I did solely for my own pleasure last year. (Actually, the purchasing of "Nazo-Pri" and the un-friendlocking of my posts have no relevance to each other, but I wanted to have read the "official" version before presenting mine.)

「Sectumsempra」で一番拘ったのは、「Blood spurted from Malfoy's face and chest [...]」のところの語順です。
「鮮血が」を文頭に持ってくることによって、原文を初めて読んだ時に受けた衝撃が、日本語でも伝わるように、と思ってこの語順にしました。

また、初めて英文で読んだ時から好きで、訳した後も好きなフレーズは、「[...] leaving a ringing silence behind her [Myrtle].」です。
日本語では、「あとには、静寂が鳴り響いていた。」にしてみました。

「The Unbreakable Vow」で工夫したのは、「act」の訳し方です。
単に「芝居」や「演技」としても良かったのですが、それではつまらないかなと思って、変えてみました。
ドラコが「Defense Against the Dark Arts--its all just a joke, isn't it, an act?」と言うのを受けて、スネイプの「It is an act that is crucial to success, Draco!」という台詞と、「Where do you think I would have been all these years, if I had not known how to act?」と言う発言に繋がるのですが(斜体筆者)、この場合、ドラコの言っている「act」は、どちらかというと「ポーズ」とか「振り」といった意味で、スネイプの「act」はどちらかというと「行動」とか「行為」といった意味です。(多分。私の英語能力の欠如による誤解の可能性有り。)
でも、そのまま訳したのでは、原文の持つ「act」の繋がりが失われてしまうので、ドラコの「act」を「見せ掛けの振る舞い」、スネイプの「act」を「立ち振る舞い」、「立ち振る舞い方」と訳し、「振る舞い」という単語を繰り返すことによって、関連性を持たせる試みをしてみました。

ほかに工夫したのは、「You are speaking like a child.」の訳し方です。
ハリポタにはまる前は、小説を一切読まず、実用書やビジネス文章に耽る日々だったので、文学では、稟議書や報告書と違って、一つ一つの文章が論理的でなくても文法に適ってなくてもいいんだ、と気付いた時は衝撃でした。
その気付きの結果が、「You are speaking like a child.」の和訳、「君のしゃべり方は、まるで子供だ。」です。
推敲を重ねた後も、ともすれば、「君のしゃべり方はまるで子供のようだ。」や、「君はまるで子供のようなしゃべり方をしている。」等の、grammatically correctな(文法的に正しい)文章に戻したくなる自分を、「実際の口語らしく」を念頭に、律しました。

しかし、今回、拙訳と本家の訳を見比べて、余りの違いにびっくりしました。
元の英文は全く同じで、同じ日本語という言語なのに、この違い…!
夢のまた夢ですが、いつか「スラ訳さん」が増えたら、みんなで同じ英文を訳して読み比べるとか、勉強会が出来たらなーなんて、夢想してしまいます。


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