a sequel to a previous one.
たぶん同時に、あーあと思った。
アランが言う、会場が笑う、彼がショーンを見やる。
ほんの一瞬静寂が降りたのには、聞こえないふりをした。
バトンタッチだな、といつぞやショーンが言った。
アランの誕生日祝いをしたスタジオ、家への道すがら。
時計はゆっくりと確実に今日を終わらせようとしていて、5月の夜。
道を縫って抜けていく、海辺特有のまっすぐな風。
「俺の誕生日。次の日にお前の。バトンタッチ」
急斜面を下りながら。首を傾いで空を見上げて。
バトンタッチ。
ショーンの脱ぎ捨てて、ボブが拾って纏う年齢。
重なる日付のない、ぴったり365日の差。
「……変な喩えだな」
靴音はふたつばらばらで、壁に響いて少し煩い。
雲がかかった夜の空、どこか遠くで泣く子供。
潮風は強くて、けれどなだらかな夜だった。たぶんワインのせい。
雲の後ろに欠けた月、襲いかかる時間のなかにふたりでいた。
彼の言い方を借りれば、突飛な変換をすれば、ショーンの生きた年齢をボブが生き次ぐということ。
これがよく考えたらおかしなことなのに、おかしいと思うことが不自然な気になる。
なにしろお互いのいる時間は人生の半分を超えてしまって、今更いない想像がつかない。
生き方はまったく違うのに、ふたり、時間を引き継いで生きていく。最初からそうだったみたいに。
そして毎年それを更新する、契約みたいに儀式みたいに。
バトンをもらいにきてみたら彼はもう新しい一年を持っていて、追いつけないのを思い知る。
けれど進む限りに遠ざかることはないのだから、相変わらず渡されるはずのバトンを追いかける。
毎年。
きっとずっと。
助けを与える一歩を、だからボブは差し出して、手を伸べた。